陶器市のこと、あれこれ

気がつけばもう5月も後半になりますが、毎回夢だったかのごとく終えている益子の陶器市。

 

今回もたくさんの方にいらして頂きありがとうございました。

 

初日は夏の様な暑さの中、開店からお並び頂き、沼野さんと共同制作した花器も午前中で売り切りとなりました。

 

器を求めお花は後日、という方も多く、並ぶ列の割には初日はお花が出ない日でした。器を求めての方と花を求めての方と相まった列の長さに、それだけでお求めを諦めてしまう方も多かったのではと思うので、次回は器とお花との窓口は別にしようかなとも思っています。

 

器を求めての方が販売開始前に並ぶのも、不公平になってしまうから、それは原則禁止にしようか…(7:00前に並ぶのはお控えくださいとは以前より記載していたものの)とか色々悩む案件。

 

ともあれ沼野さんとの花器はまた新たな形でお目見えすると思いますので、よろしくお願い致します。ご自身の制作の合間に、花器を製作してくださっている沼野さんに、本当に感謝です。次回も限られた数にはなると思うので、今回手に出来なかったご希望の方々にも是非手にして頂ければ嬉しいです。

 

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さて、春の陶器市は本当に会期が長く、大型連休と重なっていることもあり、日々の気候もさることながら、会場の雰囲気、来場者さんの雰囲気などが日々、とても変わります。

 

初日や二日目は陶器をはじめとした目的をしっかりと持った方が多い本気な雰囲気、それ以降は割とレジャーな雰囲気だと感じています、個人的には。

 

僕も生き物を扱わせて頂いてるので、日々の需要にと花たちのメンテナンスに神経を使いながら、仕入れをしています。

 

それでも、ドライになる事を目的とした販売は一切しません。スワッグも作りません(今回、悲しい事に、売り切れなかった花たちを二次的な姿としてスワッグにしたりはしました)

 

僕はドライやスワッグを否定はているわけでは無く、日々それだけ神経を使って仕入れをして、その時だからこそ入荷する旬のお花たちを、いきている姿を存分に感じて欲しいので、乾かす事を目的とした売り方はこの場ではしない事にしています。

 

もちろん、遠方よりおいでの方が多く、また気候的にも厳しい季節、安いものでは無いお花をできれば長く楽しみたいと、そういったものをお求めになるのも分かりますので、僕としてはお客様にも無理をしないで頂ければと思います。

 

現に陶器市会場内には、明確にドライやスワッグを目的として仕入れ・販売をしている他のお花屋さんもあります。以前は鉢物をメインにお取り扱いされていましたが、この流れも自然なものでしょう。

 

陶器市という環境と、そうした他のドライ専門の花屋さんがいる状況と、その中でいかにカタル葉はカタル葉でいられるか。

 

それをお客様に楽しんで頂けるか、を考えています。

 

僕は花を雑貨の様に売りたくはない、便利でオシャレなものとして売りたくは無いのです。

生きている、姿が変わる、無くなるから、美しく、それでも求めることが愛することかなと僕は思っています。

 

それぞれのこだわりが同じに見られ扱われることは、僕には消えてしまいたいほど悲しいことなので、曲げずに、これからどうしていくか常に考えています。

 

そういったお客様にとっても制約となる販売の仕方をして、全体的な客数は減り、こだわった仕事をする中、かつ過酷な陶器市の環境の中、無理なく商売の体力を保ちながらやるためには、次回以降はこだわった仕入れを少量ずつ、していくのが良いかなと思っています。

 

こだわるために、ロスが多くなるのは心がとてもつらいので。

 

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今回は常連のお客様には長い期間中何度も足をお運び頂いたりしていたのですが、一方で初めてお求め頂くお客様も多かったなと感じました。

 

「以前は並んでいて諦めていたけど、初めて並べました」とか「今回はこちらを目的にきました」というお言葉をたくさん頂き、とても嬉しく有り難い気持ちでした。

 

来てよかった、求めてよかったと思って頂けたら嬉しいし、なによりお求め頂いた花たちをたくさん愛でて頂ければなによりです。

 

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陶器市というのは特殊な環境で、出店者にもご来場者にも、町の人たちにとっても、きっとある意味マボロシの様なものなのかなと。

 

マボロシの中から何かを手にして帰る。目に見えるものなのか、そうでなくても。

 

半年はあっという間です。

 

また秋に。

お会いできるのを楽しみにしております。